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『少女と世界とお菓子の剣~Route of AYANO~』紹介

【テンプレ】
「ユリイス名義」は、台鼎がオフラインで寄稿した文章の再掲や、常体でドヤ顔レビューしたいときに使う用のカテゴリです。
ドヤ顔で語ってますが情報にほぼソースや例がありません。脳内設定の恐れすら。
また、オタク全般に関する批評・レビューを専門にした本向けの原稿なので、エロゲレビューらしからぬ表現があったりします。

数年ほど前の原稿も含まれるので、色々変なことを言ってる可能性はありますがご了承ください。

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ロリエロゲ界に舞い降りる”本格ストーリー作品”


 「私立さくらんぼ小学校」という団体をご存知だろうか。
 「さく小」の略称で呼ばれるこの団体は、実在する小学校などでは決してなく、その正体はアダルトゲームを製作する同人サークルである。この世間様に喧嘩を売っているとしか思えない名称のサークルが得意とするジャンルは、もちろんロリ。それも中途半端なものではなく、プレイの内容として「裸ランドセル」や「割烹着」が十八番として用いられるほど児童に特化。シナリオ担当・苦魔鬼轟丸の幼女に対するこだわりと、グラフィック担当・みそおでんの可愛らしい画風により人気を誇っている。その道では有名なサークルであり、児童ポルノ関連の犯罪者の所持品の代表としてニュースで取り上げられたほどである(夕刊フジ、シナリオ担当の日記を参照)。
 さく小がこれまでリリースしてきた作品は、そのほとんどがエロ重視の幼女抜きゲーであり、いわゆるシナリオゲーと呼ばれるものとは対極にあるものであった。しかし2009年の夏コミにて、「さくらんぼ小学校初の本格ストーリー作品」という宣伝のもと、ある作品がさく小から発売された。それが、『少女と世界とお菓子の剣』の第一部である『少女と世界とお菓子の剣~Route of AYANO~』である。

 この物語の主人公は、中学2年の汐見稔雄。突如ラジオから発せられたノイズに導かれて出会った春野苺という少女と稔雄が、時同じくして学園で起こり始める不可解な事件を解決していく、というのが基本的な流れだ。そして今回の第一部では、稔雄の幼馴染であるアヤノを中心にして物語は進んでいく。舞台が(小中高一貫ではあるが)中学校ということもあっていつものさく小と比べると若干登場人物の年齢が高めに思えるが、やはり幼い少年少女に主軸があることは変わっていない。

「世界は夢を見ている。それは時としてボクたちの現実に入ってくる。
世界の見せる夢に堕ちてはならない。そのためにボクがいる。
ボクはお菓子の力で世界と戦う!」


 これは、作中で印象的に使われる苺のセリフであるが、これにこの作品の世界観がよく表れている。つまり、不可解な事件の原因は「世界の夢」であり、それを解決するのが、不思議なラジオを持つ稔雄や「お菓子の剣」の力を持つ苺たちであるということ。
 「世界の夢」は、それを誰かが望むことがきっかけで、現実に入り込む。例えば、誰かが誰かに「消えろ」と願ったことが実現し、誰も彼に気づくことがなくなるといったことが起こるのだ。
 子供は純粋ゆえに残酷だという。簡単に「死ね」と罵ったり、かなり直接的に相手を傷つけたり、自分の過去を思い出せばいくらでもその通りであると実感出来るだろう。そしてこの作品の登場人物は、中学生という子供でありながら大人の様相を帯びつつある世代である。その彼らの暗い願望がもし実現したならば……。作中で起こる事件の半分はそのようなきっかけで起こり、それぞれの背景にある時に背筋が凍りそうにもなる人間模様は、苦魔鬼が長らく培ってきたリアルな少年少女の描写によって克明に描き出される。
 もう半分はというと、第二次性徴期にさしかかって形成され始めた恋愛感情である。好意や依存、嫉妬に執着といったある意味原初的な感情に、大人びてきた思考と不用意に入ってきた性の知識がない交ぜになった複雑な気持ち。作中にある、アヤノが顔を一切見せようとしないHシーンはそれを如実に表現している。そんな不安定な感情が、「世界の夢」が入り込んでくる隙間を与える。
 そしてそれを破るのが、「お菓子」という子供の象徴を武器に変える能力を持つ正義感の強い少女と、彼女の仲間たちだ。世界は理不尽に満ちている。世界が見せる、誰かだけにとって都合の良い夢。孤高であった苺が受けた、同級生からの、教師からの仕打ち。「頭の悪い」アヤノが小学生の時に体験した、子供からの、大人からの罵声。それらに対し、子供の力で立ち向かおうとする姿は、読む側の心をザクザクとえぐりながら、私たちに大切なものを喚起させようとしてくる。
 子供たちと「世界の夢」と、そしてお菓子の剣。これらの要素が織りなす事件発生から解決への過程は、良質なサスペンス、あるいは少年少女たちの青春ドラマ、あるいは現代の子供を取り巻く問題に対する社会的メッセージにもなり得、そして事実、十分にそのどれでもあると感じられた。
とすればなるほど、確かにこれは本格ストーリー作品であり、このサークルは自分たちの味を生かしながらも、単なる抜きゲーブランドというイメージを一新したことになる。昨今特に風当たりの強いロリータものエロゲ業界にあって、単なるポルノでない「彼らの表現でしかなし得ない文化的作品」を作る存在がいることは僥倖だ。

 第二部には、稔雄と苺の協力者である上級生・奈々子がヒロインとして予定されており、また第三部はおそらく苺がヒロインとなるだろう。今作では思春期の子供同士の関係が主であったが、軸のキャラクターが変わることで描かれるものがどう変わるのだろうか。大人たちとの関わりだろうか、世界の夢の根源だろうか、それとももっとほかの何かだろうか。いずれにしても、これから彼らが少年少女をもって何を伝えようとしてくれるのか、非常に楽しみである。

(初出:2009年12月)
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ユリイス名義(レビュー、エッセー風味) | 【2012-03-19(Mon) 08:49:13】 | Comments(-) | [編集]

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